「夢の国」への道のり


気がつけば4月ももう半ばまで差し掛かっている。あと半月もすれば、ゴールデンウィークだ。この時期は気候的にも過ごしやすく、あまり雨も降る季節ではないので、出かけるには絶好の季節。しかしながら、何も予定の立てていない私は悲しい男だ。

それはさておき、3、4年前のゴールデンウィークでの出来事。当時、新婚ホヤホヤだった私は、妻と2人で名古屋の東山動物園に出かけた。 草食、肉食問わず動物好きな私は、30歳の男性の立ち居振る舞いとは思えないほどのテンションで、「ふれあい系」のアトラクションが少ないのが残念だ、などと思いながらも動物園を楽しんでいた。

ゾウやライオン、色んな種類の猿や鳥、なぜか見るだけでテンションが上がるサイなど、ひと通り楽しみ、「もう一周しようぜ」と妻に懇願し、エントランスに一度戻った時だった。

私たちの前を小学1年生くらいの男の子と、その父親が歩いていた。その男の子は動物園がつまらないのか、はたまた、歩き疲れていたのか、父親より2歩下がったくらいの距離を上着をはだけさせダラダラと歩いていた。

そんな光景を観ながら、当時子供の居ない私たちは「あのダラダラっぷりが男の子ならではやね。」なんて言いながら、自分たちに息子ができ、あれくらいの年齢になった時の想像に思いを馳せていた。

その時だった。男の子の2歩くらい前を歩いていたお父さんが急に振り向き、男の子に衝撃的な一言を告げた。

「おい、東山動物園でこんな事になっててどうする!ディズニーランドはこんなもんじゃないぞ!園内はここ(東山動物園)より広いし、アトラクション待ちで1時間以上立ちっぱなしは当たり前だぞ!」

それを聞いた途端、男の子は歩くスピードを上げ、お父さんと一緒に群衆の中へ消えていったのだが、一方の私たち夫婦は、妙に説得力のあるこのセリフは使える、と顔を見合わせたのだった。

私の息子は現在2歳半、このセリフを理解できるようになるまではまだ少し時間が掛かるが、いつか自分の息子にこの身も蓋もないセリフを言える時がくるのが楽しみだ。

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